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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻1号

1979年01月発行

特集 ショックをめぐる新しい話題

ショック肺と呼吸管理

著者: 高橋徹1 神納光一郎1

所属機関: 1大阪府立病院救急医療専門診療科

ページ範囲:P.55 - P.62

文献概要

はじめに
 ショック肺との術語は簡明でわかりやすそうな語感を持つている.しかしショック腎といわれる急性尿管壊死のごとく単一の病因で説明される疾患単位ではなく,一般にARDS(Adult Respiratory Distress Syndrome)といわれる症候群と同一の広い意味で使われ,必ずしもショックと関係のないことがある.この点に関しては用語の混乱も見られるが病理学的所見,X線所見及びレスピレーターを用いての呼吸管理の共通性から,漠然とはしているがARDSとの呼称の方がより適切であるように思われる.しかしながらこの症候群の中でも,明らかに病因の異なるものがあり,そのそれぞれについて病因に基づいた予防と治療が必要なことはいうまでもないことである.これはきわめて重要なことであるが,往々にして忘れられがちでショック肺の治療,すなわち呼吸管理との短絡は避けなければならない.
 もともとショック肺shock lungとの言葉はベトナム戦争時の戦時重度外傷に伴つてみられた急性呼吸不全1)からきており,この10年余りの間に実に多くの呼称でよばれながら2),病態及び治療につき相当の進歩がみられたが依然として不明な病因が残されている.ここでは現在までに解明されてきたショック肺の病因になりうるものを列記し,それぞれの予防と治療についてまず述べたい.さらに病態の把握や予後の推定につき,急性呼吸不全の状態の評価としてのRespiratory Index(RI)等に言及する.またレスピレーター等を用いての呼吸管理は,ショック肺の予防に努めても一旦急性呼吸不全が生じてしまつてからは共通した治療法であり,症例を挙げてその要点を解説したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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