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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻1号

1979年01月発行

Spot

"ショック"で最近考えること

著者: 岡田和夫1

所属機関: 1帝京大学医学部麻酔科

ページ範囲:P.89 - P.92

文献概要

□ショックの定義
 歴史的にみてショックの定義はいろいろの説が示された.生体が侵襲をうけた際の反応を重視した立場がLaboritらフランス学派により強調されたし,マクロの血行動態の異常,さらには微小循環での異常を重視した考えも示された.これらをまとめて"急激な重要臓器の灌流低下"とすることができるが,組織はこのための重篤な酸素欠乏とアシドーシスという異常環境にさらされてくるが,これを修飾しようと中枢神経系,内分泌系機能の変化もみられる.すなわちショックは綜合して"neuro-endocrine-vasculo-cellular concept"と定義することが最も適していよう.防御反応として交感神経,副腎髄質よりのアドレナリン,ノルアドレナリンの分泌増加,視床下部—下垂体—副腎皮質系によるコルチコステロンの上昇があるが,これらも過剰反応となると生体には有害となるのである.
 このショックを進行させる最も有力な因子としてカテコールアミンを重視する人は,血管収縮による組織灌流の低下によるanoxiaの増悪と,代謝面でのgluconeogenesis,glycogenolysisの亢進,lipolysis亢進による代謝性アシドーシスの発生,これを引き金とするスラジング進行,微小循環阻害となる過程をとりあげている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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