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臨床研究
下肢動脈閉塞性疾患における光電式指先容積脈波の応用
著者: 平井正文1
所属機関: 1名古屋大学付属病院分院外科
ページ範囲:P.117 - P.121
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末梢動脈閉塞性疾患の診断は,冷感,チアノーゼ,間歇性跛行,脈拍の消失や減弱,血管雑音聴取などの臨床所見により比較的容易であるが,疾病の程度や予後判定,治療効果判定などには,さらに他覚的,定量的な診断が必要である.四肢血管撮影法は,閉塞部位の確認には最も信頼できるものであるが,反復施行には不適当であり,また,側副血行量を含めた血行動態把握は困難で,このような目的には種々の脈波の分析,皮膚温,血圧,血流量測定などの機能的診断法1)が用いられる.なかでも光電式指先容積脈波は,取り扱いが簡単で,被検者への侵襲が少なく,どこででも行ないうるという長所があるが,室温や精神緊張などにより容易にその波形や波高が変化し2-4),再現性に乏しいといわれている.
私たちの教室では,光電式指先容積脈波を用いて四肢収縮期血圧を測定し,末梢動脈閉塞性疾患の診断,血行再建術などの治療効果判定などに応用しているが5),本論文では,正常肢と下肢動脈閉塞肢とにおいて,趾先脈波と足趾血圧とを記録測定し,両者の診断率,再現性のちがいを検討した.また,脈波と血圧との臨床応用における意義について考察を加えた.
末梢動脈閉塞性疾患の診断は,冷感,チアノーゼ,間歇性跛行,脈拍の消失や減弱,血管雑音聴取などの臨床所見により比較的容易であるが,疾病の程度や予後判定,治療効果判定などには,さらに他覚的,定量的な診断が必要である.四肢血管撮影法は,閉塞部位の確認には最も信頼できるものであるが,反復施行には不適当であり,また,側副血行量を含めた血行動態把握は困難で,このような目的には種々の脈波の分析,皮膚温,血圧,血流量測定などの機能的診断法1)が用いられる.なかでも光電式指先容積脈波は,取り扱いが簡単で,被検者への侵襲が少なく,どこででも行ないうるという長所があるが,室温や精神緊張などにより容易にその波形や波高が変化し2-4),再現性に乏しいといわれている.
私たちの教室では,光電式指先容積脈波を用いて四肢収縮期血圧を測定し,末梢動脈閉塞性疾患の診断,血行再建術などの治療効果判定などに応用しているが5),本論文では,正常肢と下肢動脈閉塞肢とにおいて,趾先脈波と足趾血圧とを記録測定し,両者の診断率,再現性のちがいを検討した.また,脈波と血圧との臨床応用における意義について考察を加えた.
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