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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻11号

1979年11月発行

文献概要

特集 熱傷治療のトピックス 熱傷後の全身性変化とその治療

代謝の変化と栄養補給

著者: 相川直樹1 山本修三1 石引久弥2 阿部令彦2

所属機関: 1済生会神奈川県病院外科 2慶応義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1693 - P.1698

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はじめに
 個体が損傷を受けると様々な生体反応が起こるが,このうちでも内分泌系の反応とそれに伴う代謝の変化は特徴的であり,臨床的には代謝の亢進,糖代謝異常,窒素平衡の陰性化や体重の減少として問題にされている.これらの反応は合目的的に考えれば,損傷を受けた個体が自力による摂食が出来ない期間,生存ならびに創修復に必要なエネルギー源やアミノ酸を個体内より確保しようとする反応と考えられている.
 特に広範囲熱傷の後では著明な代謝の変化が起こることが知られており,熱傷に特有な病態としては,熱傷創よりの多量の血漿成分の喪失や,創面における水分の蒸発時に蒸発熱として失われる熱の喪失があり1),また熱傷ショックによる循環不全,感染の合併や,植皮・栄養補給などの治療により代謝異常の病態は様々に修飾される.熱傷患者の治療上特に問題となるのは,熱傷初期にみられるストレスに関連した糖代謝の異常2)と代謝の亢進3),およびショック期以降創が閉鎖されるまでの長期間にわたる創面からの熱および蛋白の喪失による高度の栄養不全状態である.本稿では,熱傷患者の管理にあたつて理解されるべき熱傷後の代謝障害の病態について述べ,その対策としての熱傷患者の栄養補給の問題にふれてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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