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特集 噴門部癌の特性と外科治療 手術術式の選択
リンパ節郭清と切除範囲をどうするか
著者: 武藤輝一1 田中乙雄1 川口正樹1 曽我淳1 佐々木公一1
所属機関: 1新潟大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1829 - P.1835
文献購入ページに移動いわゆる噴門部癌は腫瘍局在の特殊性から胸腔内下部食道に沿つてのリンパ節転移が起こりうるし,肉眼的にみられる腫瘍の口側縁からさらに数cmにわたり食道壁に沿つて浸潤している場合が少なくない.胃癌取扱い規約1)によれば食道胃接合部から2cmの範囲の胃の部分を噴門部と称するように規定されているが,実際には食道胃接合部を含めてもう少し広いやや漠然とした範囲をさすことが多く,西ら2)は食道胃接合部から上下それぞれ2cmまでの範囲を境界部癌と呼ぶことを提唱している.
現在食道胃接合部を越えない上部胃癌の手術方針に関してはほぼ一致した意見がえられており,リンパ節郭清のために膵脾合併切除を行なうか,あるいは脾や膵脾の両者を温存しながらリンパ節郭清を行なうか,Appleby手術はどのような条件で行なうかなどに関し意見の相違がある.従つて今日なお問題が多いのは食道胃接合部にかかつている癌である.本稿では著者らの施設における食道胃接合部癌の成績を中心にリンパ節郭清と切除範囲について述べることとする.
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