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臨床報告
巨大潰瘍を形成した胃アニサキス症の1例
著者: 草島義徳13 片山外一13 小島靖彦2 藤田秀春2 宮崎逸夫2 吉村裕之2 近藤力王至2
所属機関: 1舞鶴共済病院外科 2金沢大学医学部寄生虫学教室 3現:金沢大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1897 - P.1900
文献購入ページに移動アニサキス幼虫を包蔵する海産魚類の生食によつて発症するアニサキス症については,近年多数の症例報告や実験的研究があり,発症の本態も徐徐に解明されつつある.
一般に胃アニサキス症は臨床的に急性型と慢性型に分類されており,いずれの場合にもその局所反応の特徴的所見は好酸球肉芽腫や好酸球蜂窩織炎である.しかししばしば他の臨床例にみられる本症と胃潰瘍との因果関係については,必ずしも明らかにされていない.ここに報告する症例は,アニサキス幼虫が,巨大潰瘍を形成し,さらに虫体がここを穿通して大網に穿入して異所寄生をみとめた珍しい症例である.動物実験ではアニサキス幼虫は比較的容易に消化管を穿通しうるが,人体におけるこのような症例はわが国ではこれまで5例にすぎない.ここに本症例の臨床所見の概要をのべ,考察を加えたい.
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