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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻2号

1979年02月発行

Topics

肝腫瘍に対する凍結療法

著者: 蔵本新太郎1

所属機関: 1東邦大学医学部第1外科

ページ範囲:P.261 - P.264

文献概要

はじめに
 肝腫瘍または肝転移というと,一昔前は半分あきらめの境地であつた.しかし今日では一応は積極的な対策処置を考慮する段階に変つてきたのではなかろうか.ここに至るまでに色々な手技,手段の開発と普及をあげることが出来る.その一つに広範囲肝切除術の成功と,術後代謝面の解明が徐々になされてきたことがあげられると思う.現在なお多くの問題点を残しながらも,長谷川らも述べている如く,広範囲肝切除術も数年後には胃全摘術と同じようにroutineな手術になると期待されているし,事実,手術手技そのものは安全な手術の中に入れられてよいようにも考えられる.しかし一方,現実としては他の消化器の手術に比べ出血量も多く,これに伴う手術侵襲も大きい.著者らはこの出血量を如何に少なく抑え,侵襲を少なくするかという点から出発し,数年前より肝組織は凍結感受性が高く,凍結手術そのものは生体全体への侵襲が少ないことに着目し,肝広範囲凍結の実験を行なつてきた.実験上からは右葉全体の範囲容積ので,では生体に対してほぼ安全であるとの確信を得たの凍結従来は手術時に対症的に肝の部分的凍結を行なつていたのを,肝切除術の代りとして術前より計画し,肝転移のある末期癌患者に肝右葉凍結を試みた.今回は現在7症例に実施したが,一応安全に施行し得ているのでその手技を中心に述べてみたい.冷却剤はすべて液体窒素を用いた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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