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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻3号

1979年03月発行

特集 成分輸血

成分輸血の実際〈適応,投与法,臨床効果〉

血漿凝固因子からみた血液成分製剤

著者: 大里敬一1 高木輝2

所属機関: 1産業医科大学第1外科 2九州大学医学部付属病院輸血部

ページ範囲:P.351 - P.358

文献概要

はじめに
 各種凝固障害による出血に対する治療として新鮮血液だけが頼みの綱の時代があつた.当時としては,新鮮全血輸血は,失われた血液量を補充しまた欠乏凝固因子を補給する意味で最高の出血管理法であつたが,血中欠乏因子を至適治療レベルまで上昇せしめるという本来の目的を果たすことが至難であるばかりでなく,むしろ血液有形成分の過剰状態や血漿蛋白質濃度の上昇を招来することにより循環系に対する負荷のための弊害が発生して,凝固障害による出血に対する補充療法としては隔靴掻痒の感があつた.近年,血液成分の分離,純化法の進歩に伴い,患者に必要な凝固因子をかなり選択的に十分量補給できるようになつてきた.従つて凝固障害による出血の管理は容易となり,またこのような患者に対する手術も安全に行ないうるようになるとともに,輸血に基づく循環負荷の危険も少なくなりつつある.
 本稿では,現在わが国で行なわれている成分輸血の現状を市販血液凝固因子製剤をも含めて紹介し,各種凝固障害に対して最も適切と考えられる治療法について概説してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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