臨床外科34巻4号

1979年04月発行

臨床報告

胃の腺癌と平滑筋肉腫の衝突腫瘍の1例

著者： 磯本徹¹ 佐野開三¹ 重本弘定¹ 遠藤正三郎¹ 堀谷喜公¹ 山本康久¹ 青山栄² 小堀迪夫¹

所属機関： ¹川崎医科大学消化器外科 ²川崎医科大学病理

ページ範囲：P.565 - P.569

はじめに
　2つの悪性腫瘍が，胃においてほぼ同一時期に発生して衝突する，いわゆる胃衝突腫瘍は，重複腫瘍のうちでも特異な存在である．その中でも，癌腫と肉腫の衝突腫瘍の報告は極めて少なく，本邦において未だ11例を数えるにすぎない．最近われわれは，胃において腺癌が平滑筋肉腫を取り囲み，両腫瘍が衝突する，極めて奇異な形態を呈した胃衝突悪性腫瘍の1例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する．