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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

食道アカラシア

著者: 平島毅1

所属機関: 1千葉大学医学部第2外科

ページ範囲:P.783 - P.787

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■なぜ内科治療とのControversyになるか
 教室では長年にわたり食道アカラシアの成因,病態生理,診断及び治療について研究をすすめてきている.過去30年に教室の外来を訪れた本症患者は366例を数え,そのうち231例に各種の外科的治療を行なつている.本症の主要症状である通過障害は初発症状としてあり,外来を訪れるときは既に数年を経過している場合も多く,本症において外科的適応が難かしく,また手術のタイミングも内科医と論争のあるところである.ちなみに教室を訪れた本症の病悩期間をみると,366例のうち病悩期間1年未満のものは83例22.7%,1年以上5年未満は126例,34.4%さらに5年以上のもの149例40.7%,不詳8例2.2%となつている.このように初診時までの病悩期間が以外に長いことは本症の診断の困難性もあるが,本質的に一旦,通過障害が起きてもその後の経過が比較的緩慢な為でもあろう.
 本症の定義としては食道疾患研究会において統一的に定められた「下部食道接合部の弛緩不全による食物通過障害と食道の異常拡張がみられる機能的疾患」と考えるのがよく,本症の成因について種々の報告がみられるが,病理組織学的には食道の内在神経の変性の事実,中枢より末梢にまでの自律神経系の失調によるものと考えられている.ここで最も本質的な点は本症が機能的食道疾患であること,従つて手術などの機会を失すれば致命的な病変の進行状態となることの危惧はないことである.要は食事がなかなか胃に収まらないが,これによつて死亡するようなことがないことである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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