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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

—いま,内科では—内科からみた胃潰瘍

著者: 石森章1

所属機関: 1東北大学医学部第3内科

ページ範囲:P.809 - P.811

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胃潰瘍の臨床的位置
 胃潰瘍は発生病理,病理形態,臨床的特徴などからみて十二指腸潰瘍と同様に消化性潰瘍に属し,胃液の強力な消化力が潰瘍病巣の経過すなわち発生,慢性化,再発に大きな影響を及ぼしているものと考えられる.しかし何れにおいても潰瘍病巣は限局性病変であり,単発であることが多く,したがつて潰瘍病巣の発生部位を決定する他の因子αの関与を考慮しなければならない.α因子は主として胃および隣接消化管粘膜の防御力を低下する各種の要因,例えばアスピリンによる粘膜障害あるいはストレスによる局所血管の痙攣にもとずく粘膜血流障害などに相当し,その結果胃液による組織侵襲が限局性に起こるものと考えられる.このように考えてくると,胃液分泌の如何は潰瘍病巣が発生しうる範囲すなわち環境をととのえる前提条件であると考えることができる.
 ところで胃潰瘍においては,潰瘍病巣は常時胃液の存在する胃腔内に発生するので,十二指腸潰瘍のように特に胃液分泌亢進を必要とすることはなく,事実症例によつては却つて胃液分泌低下の認められることも多い.このことは胃潰瘍においては発生病理上胃液の消化力に対してα因子の比重が極めて大きいことを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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