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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

大腸憩室症

著者: 牧野永城1

所属機関: 1聖路加国際病院外科

ページ範囲:P.875 - P.879

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■なぜ内科治療とのControversyになるか
 元来,大腸憩室症は,無症状の場合は治療の対象とならず,症状がある場合でも,内科治療が主役で,手術適応は,合併症を起こした場合,および,癌との鑑別が難かしい場合にのみ生ずるとされてきた.しかし,その後,憩室炎が反復して生ずる場合は,その間歇期に手術した方がよいという考えが現われ,現在はその考えが,かなり支配的になつてきた.その他に,憩室炎の過程の中で,進行したもので,合併症を未だ起こしていなくても,いつ起こすかわからぬといつた,いわば境界部に相当する時期があり,このときに,保存的治療を続けるべきか,外科手術に踏み切るべきか判断に迷う場合,またはその時期の治療に関して,医師にょり考えが違う場合などが生じてこよう.
 1.大腸憩室症のうちでも症状を起こすのはたかだか20%位とされ,そのうちでも最も多い症状は,軽い腹痛,下痢,便秘などを主とした,いわゆる過敏性大腸症候群と似た症状である.大腸憩室症が症状を起こすのは,憩室炎を起こすためであるというのが,従来の考え方だつたが,上述のような症状のものには,必ずしも炎症の所見の認められないものが多く含まれていることがわかつてきた1).炎症症状のはつきりしないようなものに対しては,手術適応はないということに関しては見解の違いは認められない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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