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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

大腸ポリープ,ポリポーシス

著者: 今充1 村上哲之2 大内清太2

所属機関: 1弘前大学教育学部看護外科 2弘前大学医学部第2外科

ページ範囲:P.881 - P.887

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 ■大腸癌取扱い規約からみた大腸ポリープ,ポリポージス
 ポリープという用語は形態的な名称であつて,大腸癌取扱い規約1)(1977)でも,肉眼的に粘膜面に認められる限局性隆起の総称であつて,組織学的な性格を規定するものではないとしている.したがつてその質的診断はとくに大腸において,悪性化という問題を踏んまえ非常に重要なことは衆知のことである.
 またポリープとポリポーシスとの区別はポリープの数のうえからの検討を加えないわけにいかない.槙(1966)はadenomatous polypに関して単発性のものはポリープ,2個以上のものが比較的限局して存在する場合を多発性ポリープ(multiple polyps),広く結腸全体に発生しているものをびまん性ポリポーシス(diffuse polyposis)と呼称するのが妥当でないかと記しており,簡単で当を得ていると思われる.しかし大腸全体に発生する場合もその数が問題となり,ポリポーシスの場合,Buss-eyは約100個をその指標として取り上げ(図1),本邦における大腸癌取り扱い規約(前述)1)でも,大腸腺腫症を大腸に多数の腺腫が存在し,主として家族性に,時に非家族性にも発生すると述べ,多発性腺腫と腺腫症との区別は腺腫の個数をもつて明確にすることは必ずしも可能でないが,約100個を指標とすると記し,個数の上ではBusseyの意見をとり,宇都宮ら(1975)の全国集計の成績からも同じ結果を得ている.大腸の場合この数が非常に重要な意味をもつものであり,数が多いからということで同じく大腸ポリーポシスという診断は下し得ても100個以上の場合は遺伝性素因をもつた全く別の考えのもとに取り扱われなければならぬ疾病となるからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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