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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

急性膵炎

著者: 宮崎逸夫1 小西孝司1

所属機関: 1金沢大学医学部第2外科

ページ範囲:P.919 - P.923

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■なぜ内科治療とのControversyになるか
 急性膵炎の本態は活性trypsinをtriggerとする一連のchemical autolytic processによる膵の組織破壊である.かくして一旦,膵炎が初発すると,trypsin,lipase,phospholipase A,lysole—cithin,kallikrein,bradykinin,elastase,plasminなどの各種のtoxicな物質が血中に逸脱し,他臓器を障害し,一層重篤な症状へと進展させる.従つて,その臨床経過,臨床症状,臨床検査所見は極めて多彩となるが,これら症状や所見と膵の組織的所見との間には必ずしも平行せず,古来,各病態に応じた各種の治療法が提唱されている所以でもある.
 膵炎の治療の歴史的変遷をみ顧るに,1940年頃までは,膵被膜切開,膵実質切開およびドレナージなどの積極的な早期手術が行なわれていた.しかし,高い死亡率のため1950年以降は,膵外分泌抑制剤,膵酵素活性抑制剤,輸液,抗生剤の投与を主体とした保存的治療が推奨されてきた.ところが,麻酔の進歩や術後の患者管理の進歩が著しくなつた昨今では,積極的保存療法で改善の兆しが見られない症例に対しては,むしろ早期の外科的療法の必要なことが再認識されるようになつて来た.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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