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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

慢性膵炎

著者: 土屋凉一1 西村柳介1

所属機関: 1長崎大学医学部第2外科

ページ範囲:P.925 - P.929

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■なぜ内科治療とのControversyになるか
 慢性膵炎の本態である膵の線維化は不可逆性であつて,如何なる治療によつてもそれを消失させ,元の健康な膵組織に戻すことはできないと考えられている.それゆえ慢性膵炎の保存的治療はそれを根治させるのが目的ではなく,腹痛や下痢など慢性膵炎の愁訴をできるだけ軽減させようとする対症的性格のものである.具体的には,アルコールの禁止や脂肪の制限などの食事療法,腹痛に対する鎮痛剤の投与,外分泌機能低下による消化不良に対して消炎酵素の投与,糖尿病のコントロールなどである.
 一方,慢性膵炎に対する外科的治療ももつぱら慢性膵炎の最大の愁訴である疼痛の寛解が大きな目的とされており,手術の遠隔成績も疼痛の寛解を一つの指標として論じられることが多い.しかし外科手術によつて常に疼痛の寛解が得られるとは限らないことは,諸家の手術成績をみても明らかであるので,手術の効果に確信をもてない場合も少なくない.また慢性膵炎は本質的には良性疾患であり,膵癌とか他の合併症を伴う特殊な場合は別として,一般的には手術の絶対的適応であるというよりは相対的適応となる疾患と言えよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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