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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

—いま,内科では—慢性膵炎の治療

著者: 中澤三郎1

所属機関: 1名古屋大学医学部第2内科

ページ範囲:P.929 - P.930

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 慢性膵炎は膵の外分泌機能の低下とともに間質結合織の増生を主体とする疾患で,一旦病態が確立されると原因あるいは増悪因子を除去しても,なお,進行すると考えられ,遂には膵の石灰化,膵機能の荒廃がおこる厄介な疾患である.本疾患は急性増悪を反復する再発性慢性膵炎と慢性に経過する慢性膵炎とに分けられるが,その間,膵嚢胞,胆道狭窄,黄疽や内分泌障害などの諸症状が発生してくるので各々に対して適切な処置が必要である.その臨床症状も嘔気,食欲不振,下痢,るいそう,その他多彩であるが,しかし,何といつても中心となるものは疼痛である.疼痛には上腹部痛や背部痛などがあるが,その程度もほとんど無症状のもの,軽度のものから頑固に持続し社会活動が困難なものまで様々である,従つて,内科的療法にしても疼痛に対する治療が根本であり,特殊な場合を除いては外科的手術療法との関連においてもこの疼痛対策が問題となる.
 本疾患の治療は本来,内科的治療が原則であり,まず膵障害の原因および増悪因子を除くことが必要である.主要なものにはアルコール,胆石などがあるが,中でもアルコールは最も重要で大酒家が過半数を占めており,経過不良例の半数も飲酒が原因であることから禁酒は不可欠の処置である.また,胆石による膵炎は,程度も軽く予後も良好であるが,膵炎発現に直接関係するので除去する必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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