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特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45
上皮小体機能亢進症
著者: 藤本吉秀1 小原孝男1
所属機関: 1筑波大学医学専門学群臨床医学系外科
ページ範囲:P.977 - P.980
文献購入ページに移動■なぜ内科治療とのControversyになるか
上皮小体機能亢進症は,大きく原発性と続発性とに分けられる.3次性という分類もあるが,広い意味では続発性に含まれる.従来は,いずれも比較的稀な疾患と考えられており,その治療方針が論議されることはほとんどなかつた.しかし,最近10年間にそうした考え方が急速に変つてきた.
まず,原発性上皮小体機能亢進症については,これまで全身の骨病変や繰り返し起こる腎結石などの典型的な臨床症状を有する患者でしか本症の診断がつかず,こうした患者では病的上皮小体を摘除する以外に治療法はないので,手術適応の問題点が存在する余地はなかつた.しかし,今日では,血清Ca値上昇の面から本症の患者が発見されるようになり,その頻度は一躍上昇してきた.これらの中には骨病変や腎結石を有する典型例が少なからず含まれるが,そのどちらの病変も有しないいわゆる不顕性型(生化学型)のものもかなり多くある.不顕性型とよぶものの中には,特異な高Ca血症状を有するものと,それもない全く無症状群の両者がある.この不顕性型にしても,他の型の原発性上皮小体機能亢進症と同様に手術以外に根治的療法はないが,ただその自然経過がまだよく判明していないので,手術適応の決定規準をどうするかが問題となつている.
上皮小体機能亢進症は,大きく原発性と続発性とに分けられる.3次性という分類もあるが,広い意味では続発性に含まれる.従来は,いずれも比較的稀な疾患と考えられており,その治療方針が論議されることはほとんどなかつた.しかし,最近10年間にそうした考え方が急速に変つてきた.
まず,原発性上皮小体機能亢進症については,これまで全身の骨病変や繰り返し起こる腎結石などの典型的な臨床症状を有する患者でしか本症の診断がつかず,こうした患者では病的上皮小体を摘除する以外に治療法はないので,手術適応の問題点が存在する余地はなかつた.しかし,今日では,血清Ca値上昇の面から本症の患者が発見されるようになり,その頻度は一躍上昇してきた.これらの中には骨病変や腎結石を有する典型例が少なからず含まれるが,そのどちらの病変も有しないいわゆる不顕性型(生化学型)のものもかなり多くある.不顕性型とよぶものの中には,特異な高Ca血症状を有するものと,それもない全く無症状群の両者がある.この不顕性型にしても,他の型の原発性上皮小体機能亢進症と同様に手術以外に根治的療法はないが,ただその自然経過がまだよく判明していないので,手術適応の決定規準をどうするかが問題となつている.
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