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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

—いま,内科では—自然気胸の治療

著者: 田村昌士1

所属機関: 1順天堂大学医学部呼吸器内科

ページ範囲:P.1002 - P.1003

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内科医の一般的考え方
 自然気胸は他に重篤な合併症がない限り,元来必ずしも死に至る病ではない.したがって内科医はできれば外科的侵襲を加えずに,安静,穿刺脱気,胸腔ドレナージ,胸膜刺激剤注入などの保存的療法をまず考えるだろう.これは大方の内科医が考えることだろうし,患者自身の願望にも沿うことにもなる.しかし現実にはどうしても内科的な保存的治療では満足すべき結果をもたらさない症例があることも事実である.自然気胸に対し外科的治療を行なうべきか否かについて内科医と外科医の考え方が必ずしも一致しないことがある,それでは内科医と外科医の考え方の接点はどのへんにあるだろうか,少なくとも本症に対する根治的手術の絶対的適応もしくは禁忌に関しては両者に意見の差があろう筈がない.そこで両者に意見の差があるとすれば,手術の相対的適応ということになろう.相対的適応を考える際,自然気胸の臨床像を十分把握する必要がある.たとえば発症年齢の分布が2峰性を示すこと,左右の発症時点に差があるにしろ両側発症が比較的多いこと,(自験例で24.3%)若年期と老年期で発症原因に差があることなどが本症を治療する時の重要な問題を含んでいる.
 ここでは,主として外科的治療の適応を中心に内科側から考えをのべてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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