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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻6号

1979年06月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい手術の適応とタイミング—注意したい疾患45

重症筋無力症

著者: 石川創二1

所属機関: 1国立療養所富士病院外科

ページ範囲:P.1009 - P.1013

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■なぜ内科治療とのControversyになるか まず,重症筋無力症という疾患は,反復する運動,あるいは動作によつて筋力が低下し,著しい疲労が現れ,休息すると筋力が回復するという特徴がある.このmechanismについては,神経筋接合部の刺激伝導障害と理解されており,presynaptic regionに,impulseが伝わる際に遊離するacetylcholineが,acetylcholinesteraseによつて分解されて,postsynaptic regionに正しく伝わらないためと考えられている.最近のFambrough1)らの研究では,synaptic regionに存在するacetylcholine receptorの減少も本疾患の重要なfactorであるといわれる.しかし,その本態は未だ明らかでなく,現在本症の病因として,基本的には,自己免疫の関与によつて起こる自己免疫疾患であることは確実であるが,本症の治療に当つて,次の5つの項目の関与も見逃すことの出来ない重要な事項である.即ち,
 (1)胸腺腫の合併
 (2)胸腺異常の合併
 (3)甲状腺機能亢進症の合併
 (4)副腎皮質不全の関与
 (5)筋炎の合併
 個々の重症筋無力症例が,いずれの項目(複数の場合もしばしばありうる.)に関与するかを検討し,それによつて治療方針を立てることが重要である.しかし本態が不明なだけに,種々の異論が生ずるのはやむをえない.そこで,著者は自らの経験と報告例をもとにして,重症筋無力症の治療としての胸腺摘出術の適応とタイミングについて,考察してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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