文献詳細
臨床報告
急性全身性激症型輸入アメーバ症の1例
著者: 須江秀一1 伊藤勝朗1 生駒義人1 岡野一廣1 原宏1 山根洋右2 山崎郁雄3
所属機関: 1鳥取大学医学部第2外科 2島根医科大学環境保健医学 3鳥取大学医学部第2病理
ページ範囲:P.1321 - P.1324
文献概要
わが国でのアメーバ症は,戦後一時的な増加がみられたが,その後,衛生思想の浸透と共に漸減傾向を示し,近年では非常にまれな疾患となつている.一般にアメーバ症は慢性の経過をとるものが多いと言われているが,南方由来の輸入アメーバによるものは経過が急性で,その上毒性が強いとされている.著者らは最近,腸潰瘍形成および肝膿瘍形成を主とする急性全身性激症型赤痢アメーバ症の一例を経験したが,近年の海外旅行の激増に伴い,このような普段はなじみのない伝染病の輸入が今後,あるいは増加することも当然予想される.
輸入アメーバ症に対する注意を改めて喚起すると共に,われわれが治療上直面した数々の問題点について若干の検討を加えたので,ここに報告し,諸賢のご参考に供したい.
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