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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻9号

1979年09月発行

文献概要

特集 手術と抗生物質 手術と抗生物質の処方

術後肺合併症

著者: 藤村重文1 仲田祐1

所属機関: 1東北大学抗酸菌病研究所外科

ページ範囲:P.1377 - P.1383

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はじめに
 最近外科手術法や術前術後の管理の進歩に伴い手術適応が著しく拡大され,新生児や高齢者はもとより,術前に身体各種枢要臓器に障害がある者においても開胸や開腹を伴う侵襲の大きな手術が行なわれるようになつてきた.しかしながら,かかる手術が数多く行なわれるようになつてきた一方では,術後思いがけない合併症によつて苦慮し,あるいは患者を失うという事態にもしばしば遭遇し,術後合併症の予防ならびに治療に対する十分な理解が最近とみに要求されるようになつてきた.
 一般的に,開胸や開腹術後は手術や麻酔の影響により気道内分泌の増加が起こるが,手術による呼吸筋の運動障害や疼痛により分泌物の喀出障害をきたす.気管支痙攣や肺虚脱を容易に惹起する状態となる.術後はまた,疼痛によつて浅く早い呼吸が続くことによつて,FRCの低下とsmall airway closureをきたし,これらに手術侵襲や術後の発熱なども加わつて酸塩基平衝や循環機能へも影響をおよぼし,生理学的シャントの増大をきたし,低酸素血症が起こつてくる.術後管理を合理的に遂行するための指標として患者肺機能の把握が重要となつてくる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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