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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻9号

1979年09月発行

文献概要

特集 手術と抗生物質 手術と抗生物質の処方

術後尿路感染症

著者: 名出頼男1

所属機関: 1名古屋保健衛生大学医学部泌尿器科

ページ範囲:P.1385 - P.1389

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はじめに
 術後の尿路感染症での抗生物質の使い方という主題で問題になるのは,薬剤を使うべき感染と,使う必要のない感染をどうやつて区別するかということである.尿路感染症とはいうものの,男性ではしばしば性器感染症を合併したり,それが前景に出て来たりするので,尿性器感染の名が与えられる時もある.この感染症は,通常外科手術後一時期尿量測定や,排尿困難ある為に留置カテーテルが置かれた為に発生して来るものが多い.留置カテーテルは尿路内で異物として炎症反応を起こさしめ,また菌の侵入門戸の役も果しはするが,それが単に膀胱感染に止まる場合は,必ずしもそれに対し治療は必要としない.この膀胱内感染が他の臓器に波及して,症候性或いは無症候性の感染症を起こした時点ではじめて抗菌剤投与が行なわれるのが正しい対応の仕方であるが,実はこのような他臓器の感染は,元来夫々の臓器に何か潜在疾患があつて,その為感染が波及し易くなつていた為であることが少なくない.また膀胱を含めて各臓器に何等かの疾患が内在した場合,カテーテル抜去後も投薬に対し簡単には反応しないで感染が持続することも稀ではない.従つて,この与えられた主題について論ずる前に,或いはむしろ主題と同程度の重要さでもつて,各臓器夫々の感染症の様態について述べる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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