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文献詳細

雑誌文献

臨床外科34巻9号

1979年09月発行

文献概要

特集 手術と抗生物質 手術と抗生物質の処方

術後敗血症

著者: 相川直樹1 山本修三1 茂木正寿1 須藤政彦1 石引久弥2 篠沢洋太郎2 山田好則2

所属機関: 1済生会神奈川県病院外科 2慶応義塾大学医学部外科

ページ範囲:P.1391 - P.1399

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はじめに
 術後敗血症は手術後の感染症のうちでは発生頻度は低いが,死亡率が高い重篤な全身性感染症である点,外科医として常にその発生の防止,早期診断,適切な治療に十分な配慮が要求される疾患である.近年では,麻酔や術前後の患者管理の進歩,手術手技の拡大により,感染防御力の低下した症例に侵襲の大きな手術が行なわれることが多く,また細菌汚染の面からは膀胱カテーテル,気管内チューブやSwan-Ganzカテーテル1),中心静脈栄養カテーテル等の長期間の血管内留置が高頻度に実施され,糖尿病患者の増加,抗癌剤,ステロイドホルモン,免疫抑制剤の使用等,host—parasite relationshipのバランスの上で敗血症発症の危険性は増加している.そのため,慎重な手術手技,術後管理,予防的抗生物質の投与にもかかわらず術後に敗血症を合併し致命的となることがしばしばある.
 発生頻度は,手術の種類,対象患者の差異により各施設問の報告に多少の差はあるが,中山らの報告では全腹部外科手術症例の5.5%2),著者らの検討では全身麻酔下の消化器手術症例の2.4%に敗血症が発生している.死亡率は50%前後との報告が多く,われわれの成績でも,術後敗血症患者の47%が敗血症およびそれに関連した合併症により死亡しているのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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