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特集 手術と抗生物質
副作用からみた薬剤の選択
著者: 品川長夫1 花井拓美1 松垣啓司1 石川周1 由良二郎1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1423 - P.1429
文献購入ページに移動外科領域において化学療法は他の分野におけると同様に重要な治療手段となつていることは言うまでもない.化学療法の原則としては起炎菌の決定,その薬剤感受性に基づいて副作用の最も少ない薬剤を選択し,適切な投与量,投与経路,投与期間をとることである.すなわちhost,parasite,drugの三者の関連性を十分考慮したうえでの,綜合的,理論的な裏づけをもつた適切な化学療法でなければならない.一方,外科領域において抗生剤投与がなされる揚合はそのほとんどが術後であり,重大な基礎疾患に加え大きな手術侵襲は宿主の病的状態を更に悪化せしめる結果となり,抗生剤そのものの毒性に対する抵抗力もさらに減弱する可能性がある.また基礎疾患として肝・腎障害を有する症例に対しても,起炎菌の感受性からみて,肝・腎障害発現の可能性がある抗生剤の投与を余儀なくされる場合もある.現時点において肝・腎障害を伴う各種病態下における抗生剤の体内動態については,未だ十分に判明していないと言える.故に,かかる病態下においては当該抗生剤による副作用発現の可能性を十分に考慮にいれた上で,投与量,投与方法を決定し,投与中は副作用早期発見のため諸検査をおこたつてはならない.
ここではそれぞれの系統の抗生剤について,発現頻度の高い副作用について述べ,その使用にあたつての留意点,抗生剤の選択の基準などについて論ずる.
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