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臨床報告
上腕動脈外膜嚢腫
著者: 伊藤勝朗1 提嶋正1 則武正三1 河田知啓1 中村和夫1
所属機関: 1鳥取大学医学部第2外科
ページ範囲:P.1475 - P.1479
文献購入ページに移動動脈外膜嚢腫は,動脈壁の中膜と外膜の間にゼラチン様内容物を容れた嚢胞を形成する疾患である.この嚢胞は血管内腔を圧迫して狭窄を,時には閉塞をもたらし末梢の阻血症状を惹き起こす.非常に稀な疾患であるが,現在までに文献上,およそ50例余の報告がある1-13),好発部位は膝窩動脈で,80%以上がこの部に集中発生しているが,この他にも外腸骨動脈14-16),総大腿動脈2,3,11),橈骨動脈17)及び尺骨動脈18)の罹患も少数ながら記載されている.
右上肢の急性動脈閉塞症状を伴つて発症し,手術の結果,上腕動脈の外膜嚢胞による閉塞であることが判明した非常に珍しい症例を経験したので,その原因並びに治療法の検討を行なうと共に,文献的考察を加えて報告する.
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