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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻10号

1980年10月発行

文献概要

外科医の工夫

癌末期大量腹水に対する腹腔・大静脈シャントの経験

著者: 樋上駿12 沢田寿仁12 池永達雄12 秋山洋12 吉場朗3 熊田博光3 竹内和男3 小宅映士3 西蔭三郎4 和田孝次4

所属機関: 1虎の門病院消化器外科 2冲中記念成人病研究所 3虎の門病院消化器科 4虎の門病院病理学科

ページ範囲:P.1469 - P.1475

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はじめに
 癌の治療には現在,手術,放射線,化学,免疫の4療法が主なものであるが,癌末期患者における大量腹水に対しては,これらが無効の場合が多い.制癌剤の腹腔内注入は癌性腹膜炎による腹水貯溜に対してはしばしば効果的であるが,massiveな肝転移による腹水貯溜に対しては効果が極めて少ない.利尿剤投与も効果が少ない.しかし患者にとつて大量の腹水貯溜は耐えがたい苦痛である.
 このような内科的治療でコントロール不可能な癌末期肝転移による大量腹水患者に対し私どもは,脳外科領域で水頭症患者に用いられるone-way valveを使つて腹腔・大静脈シャント(以下P-V shunt)を作成し,腹水を持続的に静脈系に流し,患者の腹満感を軽減しえたので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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