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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻11号

1980年11月発行

特集 私の縫合材料と縫合法

私の縫合材料と縫合法—私はこうしている

食道・胃

著者: 鶴丸昌彦1 秋山洋1

所属機関: 1虎の門病院消化器外科

ページ範囲:P.1523 - P.1528

文献概要

はじめに
 消化管縫合(吻合)における術後合併症の最も重要なものは,縫合不全と術後吻合部狭窄である.縫合不全に関しては,最近は,従来言われてきたほどの発生もなく,各施設とも,食道吻合ではminor leakageを含めて5〜10%程度との報告が多い.これは,手術操作すなわち吻合技術の向上,術後の栄養管理面での進歩,ドレナージ法,あるいは縫合材料面での進歩によるものと思われる.しかしながら,最高級の縫合糸を用いたから縫合不全がなくなると言うわけではなく,やはり,縫合,吻合の技術的な側面が一番のポイントとなろう.
 吻合の様式に関しては,最近,一列吻合がかなり話題になつており,特にGambee1),Hepp & Jourdan2),Olsen3),はその代表的なものである.消化管縫合部において創傷治癒のおこる部位は,古くは漿膜面での接合が重視され,その代表的な縫合法がAlbert-Lembert縫合である.しかし,その後の研究により,消化管においても,その創傷治癒は,消化管断端の正確な接合により,血行の豊富な粘膜下組織を中心として,粘膜の各層毎に行なわれることが判明した4).こうして,断端を正しく接合させる(Layer to Layer)という考えのもとに提唱されたのが層々吻合(断端吻合)の二列吻合であり,またGambee,Hepp & Jour—dan,Olsenの一列吻合である(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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