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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻12号

1980年12月発行

文献概要

特集 癌と栄養

担癌動物の栄養と制癌剤

著者: 岡田正1 長谷川順吉1

所属機関: 1大阪大学医学部第1外科

ページ範囲:P.1653 - P.1656

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はじめに
 現在行なわれている癌治療は手術治療,制癌剤治療,放射線治療,免疫治療の4種に大別される.これらのいずれを行なう上においても栄養障害の存在が治療を遂行する上で極めて悪影響を与え,これが従来その治療範囲を著しく狭めて来たともいえる1).高カロリー輸液の導入は癌治療に新しい展望をもたらした2-4).本輸液により経口経管栄養の不十分な患者に対する栄養補給が初めて可能となり,栄養不良のために積極的な癌治療ができない,あるいは制癌剤,放射線治療の副作用のために衰弱が強く治療を打切らざるを得ないといつた場合が明らかに減少したのである.現在高カロリー輸液は各施設に取り入れられ,次第に一般化されつつあるが,癌治療においては,ある種の患者において,時に著しい効果を認めたという報告はみられるものの未だ散発的であり,その効果・適応に関しては一定の見解は得られていない.これは臨床例においては取扱う癌症例自体が多種多様であり,また制癌剤の種類,使用量も一定でない事が多く,さらに効果判定が極めて困難である事が要因を占めていると思われる.癌治療における高カロリー輸液,さらには制癌治療併用の意義を明確にするには,一定条件下での比較検討が可能な動物実験が必須であるのは以上の事実より考えて当然の事であろう.そこで本稿では今までに高カロリー輸液の実験モデルを用いて行なわれた担癌生体および腫瘍自体に対する栄養効果,あるいは制癌剤に対する反応などについての研究成果を概観し,更に今後の進むべき方向についても述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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