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特集 癌と栄養
消化器癌手術前後の高カロリー輸液
著者: 遠藤昌夫1 青木克憲1 山藤和夫1 安藤暢敏1 阿部令彦1
所属機関: 1慶応義塾大学医学部外科
ページ範囲:P.1657 - P.1664
文献購入ページに移動消化器疾患の外科領域における栄養は,常に古くて新しい問題を含んでおり,外科臨床栄養学の進歩は消化器の手術成績向上において,その一翼を担つて来た.特に栄養摂取と直接に関係する上部消化器疾患手術後の栄養問題は,古くから注目され,われわれの教室でも食道手術後の栄養管理などに工夫を凝らして報告している1).一方,Studley2),Rhoads3)らにより術前の栄養不良状態が,術後の死亡率,感染症の増大と密接な関係を有すると報告されるなど,術前の栄養状態改善の重要性も唱えられている.最近10年間の経静脈栄養補給(TPN)の普及は手術前後の栄養管理に画期的進歩をもたらすとともに,栄養状態の評価方法も,見直されるようになつた.消化器癌患者では良性の消化器疾患に比し,単なる経口栄養摂取不良による以上の栄養失調症状を示すといわれ4),消化器癌患者における術前後の栄養管理の重要性は論を待たない.
本稿では,特に術前の栄養状態と手術成績が関連を有する食道癌患者に対する手術前後のTPN管理を中心に,われわれの経験を主として論じたい.
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