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臨床研究
Elemental Dietによる大腸手術の前処置
著者: 相場哲朗1 小山真1 福田稔1 畠山勝義1 山岸良男1 吉川恵次1 薜光明1 広田正樹1 吉川和子1 武藤輝一1 仁田原義之2
所属機関: 1新潟大学医学部第1外科 2新潟大学医学部細菌学教室
ページ範囲:P.1734 - P.1740
文献購入ページに移動近年,臨床で盛んに用いられるようになつたelemental diet(以下,EDと略す)は,chemically defined diet(CDD)とも呼ばれるごとく,化学的に成分が明らかであり,ほとんど全ての成分が消化を必要とすることなく,そのままの形で容易に吸収されるという特徴を持つている.そのため,その適応は(表1),intravenous hyperalimentation(IVH)と同様に広範囲に渡り,enteral hyperalimentationも可能である.特にEDの吸収は,大半が小腸上部で行なわれ残渣がほとんどないことより,大腸疾患の術前術後の管理にEDが用いられ著しい効果が認められている.
今日まで,ED投与による大腸手術の前処置の効果として,糞便量および糞便中細菌数の減少に関し,数多くの報告がみられる.糞便量の減少についてはEDの特徴より異論のないところであるが,糞便中細菌数については減少しないという報告も多く,未だ結論は得られていない.そこで著者らは,ED-AC(表2,味の素KK製造,森下製薬KK販売)を用いて大腸の前処置を施行し,糞便量,糞便中細菌数につき,動物実験および臨床例で検討を加えた.
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