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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻2号

1980年02月発行

文献概要

特集 外科医のための麻酔

麻酔に伴う法律問題—麻酔医の立場より

著者: 森川定雄1

所属機関: 1神戸大学医学部麻酔科

ページ範囲:P.203 - P.208

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はじめに
 麻酔による事故が全医療過誤中のかなりの部分をしめている.1971年(昭和46年)兵庫県医師会の医療紛争100例中の12例(12%)1),1972年(昭和47年)日本医師会の医事紛争1,640例中107例(6.5%)2)(局麻21,腰麻47,全麻39)治療に関係した紛争1,128例中では107例は9.5%に相当する.最高裁民事局が1975年(昭和50年)12月現在一審で係争中の民事関係を中心とした医事関係の全訴訟757例では,麻酔関係は35(4.6%)であり,原告勝訴率は60%と高い3).また麻酔過誤は一度起こると重篤で死亡につながりやすい.四方によると4),1966年〜1975年の10年間の医療事故の死亡例,解剖例442例中180例(40.7%)が麻酔によるもので,最も多い順から,妊娠中絶33,虫垂切除32,脱臼骨折21,帝王切開10,扁摘10であつた.ゆえに若年者,健康人が突然死亡するため医事紛争に非常になりやすい.
 現在日本麻酔学会では学会が斡旋して医療事故保険に加入している.麻酔専従をしている医師のほぼ100%は勤務医であり,1976年では865名で,878名がこの保険に加入した(専従医以外の加入もあるため).1978年では595名が加入している.(ちなみに1979年度の麻酔学会会員は2,420名で麻酔医以外の会員が非常に多い).保険金はここ数年のうちに約2.8倍になつている.(5,000万円保障で15,200円→42,910円)しかしこの保険は毎年無事故による優良払戻しを受けている.新聞などで報道される麻酔事故は麻酔専門医によるものはほとんどなくて,外科,産婦人科,整形外科,歯科医などによるもの,しかも開業医に多いのが特長である.麻酔に伴う医療過誤と法律問題につき,以下の項目を麻酔医の立場より論じることとする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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