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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻2号

1980年02月発行

文献概要

histoire de la chirurgie アンブロアズ・パレの世界—400年前の大外科医をめぐつて・2

パレの後半生

著者: 大村敏郎1

所属機関: 1川崎市立井田病院手術室

ページ範囲:P.209 - P.212

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□Paré時代の外科を進歩させた要因
 医学全体について,それを進歩させる要因をあげろといわれると難かしいのだが,ルネッサンス期の,特に外科が急激に進歩した理由として2つのことが考えられる.1つは医学的な,いわば内的な要因ともいえるが,16世紀が別名「解剖の世紀」といわれるように,外科のうらづけになる解剖学が大きな発展をとげた.Leonardo da Vinci(レオナルド・ダ・ビンチ1452〜1519)もそうだが,有名なAndreas Vesalius(アンドレアス・ベザリウス1514〜1564)の"Fabrica"はその代表的なものといえる。
 VesaliusとParéは立場こそ異なつて,一方は医学部医として,他方は床屋外科医としてではあるが,共通の師Sylvius(シルビウス1478〜1555)について解剖を学んだ.Vesaliusはブラッセル生れで,本名はAndré Vésale(アンドレ・ベザール)なのだが,論文はラテン語で発表した為に,名前もラテン語風に呼ばれ,その師もSylviusとラテン語名で紹介されているが,Paréの方は論文がフランス語の為に,その師の名前もJacques Dubois(ジャック・デュボア)とSylviusのフランス語の本名で紹介されている.わが国の本では,この2つの名前から別人のようにあつかつているものさえあるが,これは同一人物で,ラテン語医学とフランス語医学の別れ目に立つ人物ということが出来る.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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