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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻5号

1980年05月発行

文献概要

特集 癌のリンパ節郭清をどうするか 甲状腺

基調論文—甲状腺

著者: 牧内正夫1

所属機関: 1信州大学医学部第2外科

ページ範囲:P.725 - P.731

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はじめに
 甲状腺癌は表1に示す如く,濾胞上皮より発生する乳頭癌,濾胞癌,類表皮癌,未分化癌と,旁濾胞細胞(parafollicular cell,C cell)より発生する髄様癌に大別される.その頻度は乳頭癌が最も多く75.0〜87.6%を占め,次は濾胞癌で7.4〜17.5%である.未分化癌は2.7〜3.5%で決して多くはないが,極めて悪性である.類表皮癌は稀なタイプで,0.3〜0.7%を占める.髄様癌はカルチトニンを分泌する内分泌学的に特色のある癌で,1%前後にみられる.なお稀に肉腫などが発生する.
 以上の甲状腺癌はそれぞれ特徴を持つており,例えば術後の生存率をみると,図1の如く乳頭癌と濾胞癌とは共に予後良好でほぼ同じような生存率曲線を示すが,未分化癌の予後はきわめて不良である.すなわち,乳頭癌あるいは濾胞癌などいわゆる分化癌と未分化癌とでは予後において著しい相違がある.髄様癌は組織学的には間質におけるアミロイド沈着を特徴とし,カルチトニンを分泌するApudomaの一つである.このように,甲状腺癌は組織型により生物学的性格を異にするので,各組織型に適した治療法を用いる必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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