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特集 大腸癌根治手術の再検討—ポリペクトミーから拡大郭清まで 直腸切断か括約筋温存か
直腸切断術における腹会陰式と仙骨腹式および腹仙骨式
著者: 山本恵一1 龍村俊樹1 岩喬2 宮下徹2
所属機関: 1富山医科薬科大学医学部外科 2金沢大学医学部第1外科
ページ範囲:P.999 - P.1007
文献購入ページに移動直腸癌の根治切除術式の選択において,癌腫の占居部位ならびに伸展度によつて直腸切断術を行なうべきか,あるいは(括約筋保存)直腸切除術を行ない得るかが決定されるべきであり,直腸癌の占居部位にのつとつたリンパ節の郭清に関しては,切断術でも,切除術でも同様に行ない得る.かように,直腸切断術と切除術とが同格に考えられるようになり,直腸癌の占居部位と,その進行程度とを考慮していずれかの術式が選択されるべきであるというのが,最近の術式選択の規準11)である.
このような見地から,現在直腸切断術の適応と意義とが論議せられるべきであり,排便機能の温存をはかり,合併症を少なくするために侵襲量を減少せしめたいという理由のみから各種括約筋保存術式が安易に採用されてはならないと考える.そこで,私どもの症例を中心に,現在行なわれている各種切断術式のうち,1.腹会陰式,2.腹仙骨式および3.仙骨腹式のそれぞれの特質と優否とを比較検討し,諸賢のご参考に供したい.なお,私どもの場合,腹仙骨式を行なつた経験は3例と少なく,主として仙骨腹式(89例)を行なつているので,それらの手技特徴に関しては仙骨腹式を主体として述べ,腹仙骨式に関しては,その術式を採用しておられる施設のご意見9,10,13)をおつたえすることでお許しを乞う次第である.
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