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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻7号

1980年07月発行

特集 大腸癌根治手術の再検討—ポリペクトミーから拡大郭清まで

直腸癌における拡大郭清の意義

拡大郭清と遠隔成績

著者: 高橋孝1 太田博俊1 中越享1 前田正司1

所属機関: 1癌研究会付属病院外科

ページ範囲:P.1009 - P.1013

文献概要

拡大根治術式の考え方の変遷
 拡大根治術式を考えるためには定型的根治術式を考えてみなければならない.定型的根治術式における摘除組織の範囲を越えて,組織が摘除されれば,その部分だけは拡大根治手術がなされたと考えられるわけである.それならば直腸癌の定型的根治術式とはいかなる術式を言い,どのような摘除組織の範囲をもつものであろうか.
 数年前までは,直腸癌の定型的根治術式と考えられていたものは,Miles術式であつた.すなわち1908年に提示されたMilesの原法に則つた摘除組織の範囲をもつものが直腸癌の定型的根治術式であつた.すなわち,それは下腸間膜動脈を左結腸動脈分枝の末梢で切離し,S状結腸とその間膜を適切な部位で切離し直腸周囲組織を剥離してくる.肛門輪を中心に会陰切開を行ない,坐骨直腸窩の脂肪組織を完全に摘除してから肛門挙筋を起始から切離して直腸を切断するものである.この術式が過去70年の間,直腸癌の定型的術式としての地位を保ちつづけて来たのは,この術式が直腸のリンパ流を認識し,その郭清の術式を包含していたからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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