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臨床研究
外科領域における非ケトン性糖尿病性昏睡の診断と治療
著者: 五関謹秀1 滝口透1 森重夫1 羽生丕1 畑野良侍1 毛受松寿1 波多野誠2 大野昭二3
所属機関: 1東京医科歯科大学第1外科 2九段坂病院外科 3太田綜合病院外科
ページ範囲:P.1057 - P.1062
文献購入ページに移動高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡hyperosmolar nonketotic diabetic coma1-3)(以下,HONDCと略す)註)は,いわゆる高浸透圧症候群hyperosmolar syn—dromeの1つであり,高度の脱水,高血糖がみとめられるが,ケトアチドーシスを欠く事が特徴であり,診断にあたつては,ケトアチドーシスを伴う糖尿病とは区別して考えられるべきである.発生頻度は従来稀とされ,高齢者に多く,予後も不良で,死亡率は40〜50%3-7)と高いとされていた.しかし,手術対象の高齢化に伴い,また高カロリー輸液の普及により,HONDCの発生が外科領域で重要な合併症と考えられてるようになり8-10),わが国でもその頻度は増加の傾向にある11-13).著者らは,先に5例の経験を報告したが12),最近さらに興味ある例の発生を見,これらの6例を詳細に検討し,さらに術後正常に経過した対照群との比較から"HO—NDC準備状態"(以下,pre-HONDCと略す)の認識がHONDCの予防,治療に最も重要であるという結論に至つた.以下,HONDC 6症例の簡単な臨床経過を述べ,次いでpre-HONDC状態についての検討を加える.
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