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文献詳細

雑誌文献

臨床外科35巻9号

1980年09月発行

特集 消化管手術と器械吻合

消化管吻合器の使い方と問題点

食道静脈瘤

著者: 小林誠一郎1 高崎健1 武藤晴臣1 林恒男1 中村光司1 朝戸未男1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.1245 - P.1250

文献概要

はじめに
 近年,消化器系癌腫に対する手術に際して,リンパ節郭清が広範囲に要求されるようになり,手術操作は増々多く複雑化してきている.そこで術中操作のうち,はぶくことのできる部分についてはなるべく省略し,簡略化してゆこうとする努力がはらわれてくることとなる.そして消化器外科において,多くの場合腸管吻合の操作は消化管切除後の再建術として行なわねばならないものであり,その手術の本来の目的ではないわけであるので,器械を用いて簡単にすませてしまおうという風潮となつてきているものと思われる.
 最近多くの施設においても腸管吻合器が用いられはじめてきているが,この裏には腸管吻合器自体の安全性,確実性が向上してきているという点が背景となつていることは見のがせない.器械を正しく用いることにより腸管吻合は短時間に確実に完成させることができるわけであるが,しかしながら器械があればもはや用手的な腸管縫合の手技のトレーニングが不必要となるかというと,否である.器械は確かに便利であり,有効な手術の補助具であるが,しよせんは器械であり,わずかの操作上のミスで全く不完全となつてしまうことも起り,また器械を用いる以前に腸管の設計が良好に行なわれていなければならず,また吻合が十分確実に行なわれたか否かの確認が行なえるような判断の目を持つていることも器械を使う者の必要条件となる.結局は十分に腹部外科における一般的手術手技の訓練をつんだ者が,器械の機構を十分に理解した上でその操作に慣れ,使用する時にはじめて安全に用いることができるものであり,特に手術を簡略化しようという目的とか,用手的な縫合が不可能である部位での吻合に応用しようとする時に,その有要性が発揮されるものである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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