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特集 膵炎診療のControversy 急性膵炎の手術適応とタイミング
Q & A
著者: 中野哲1 蜂須賀喜多男2
所属機関: 1大垣市民病院第2内科 2大垣市民病院外科
ページ範囲:P.1547 - P.1554
文献購入ページに移動急性膵炎は上腹部の激痛発作と悪心,嘔吐等の腹部症状を伴うことが多く,これらに血液am—ylaseの著明な上昇がみられた場合,本症と診断されることが多い現状である.しかし,無痛性の急性膵炎1)もあり,最も重視されている血液am—ylaseの異常上昇は,病期によつてはみられなかつたり(false negative),あるいは,膵以外の病変で見られたり(false positive)するので2),上記の条件を満たしても必ずしも急性膵炎と診断するには問題がある.
本症の重症度判定を論ずるにあたり,まず本症の正確な診断が前提になるので,われわれが臨床的に急性膵炎と診断した症例のなかで,開腹手術によつて膵の肉眼的所見を確認したものか剖検で本症と診断がつけられたもの以外はすべて除外するという厳しい診断のクライテリアを満たす症例のみをretrospectiveにみて急性膵炎の重症度判定の資料に供し検討して来た3).一方,逆に開腹あるいは剖検例のみを検討すると,開腹せず内科的治療で治癒した本症の軽症例が検討から落ちる可能性があるが,重症度の判定基準の検討であるから,あくまで確診例のみをとりあげた4).
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