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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻10号

1981年10月発行

文献概要

特集 膵炎診療のControversy 急性膵炎の手術適応とタイミング

Q & A

著者: 香月武人1 小牧文雄1

所属機関: 1宮崎医科大学第1外科

ページ範囲:P.1555 - P.1562

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はじめに
 急性膵炎は,自然治癒し得る軽症急性浮腫性膵炎から,きわめて高い死亡率を示す急性壊死性出血性膵炎に至るまで,種々の重症度を呈する.また,急性膵炎の症状に何がしかの特色はあつても決して特異的ではなく,的確な早期診断は必ずしも容易でない.一般的には,急性膵炎は,嘔気・嘔吐を伴い,急速に漸増する上腹部痛で発症し,背部痛を伴うが,突発する疝痛発作で発症することはほとんどない.また,重篤な印象にもかかわらず,腹部の理学的所見が乏しい.さらに,発熱に先立つて頻脈が出現することが多いが,shockの発現は発症16〜24時間後といわれ,早期にshockを発症した場合は壊死性出血性急性膵炎の可能性が強い.これらの手がかりをもとに,血中・尿中amylaseの高値を確認して急性膵炎の診断がほぼ確定される.
 急性膵炎が確定されると,輸液,胃液の吸引排除,抗蛋白分解酵素剤,抗生剤の投与などで治療され,ほとんどの症例が24〜48時間以内に軽快の兆しを示すが,約10%の症例では,これら初期の姑息的治療で改善がみられず,救急手術を行なうという治療方針が従来の合意であつた18).しかし,high riskな症例に関しては,早期の手術治療が有効であるとする報告が最近相次ぎ,high riskの判定と,手術の時期に関心が強い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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