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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻10号

1981年10月発行

文献概要

特集 膵炎診療のControversy 慢性膵炎の手術適応と術式の選択

Q & A

著者: 羽生富士夫1

所属機関: 1東京女子医大消化器病センター外科

ページ範囲:P.1585 - P.1590

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はじめに
 慢性膵炎の手術適応や術式の選択を論ずる場合,いわゆる慢性膵炎の基本的な成り立ちをどのように理解するかが第1に重要である.いわゆる慢性膵炎には二つの基本的なタイプが存在する.一つは,膵全体にびまん性に実質の線維化をみるもので,これを膵管造影像からみてみると,主膵管・分枝ともに全体にわたつて多発性で不規則な狭窄と拡張を示すもので主としてアルコール性慢性膵炎に特徴的な所見であり,われわれはびまん型と称している.もう一つは,膵の一部に限局した病変をもち,導管としての主膵管に狭窄あるいは閉塞を来し,その上流膵管および分枝は,均一な拡張を示し,その流域膵実質のみに線維化をみるもので,急性膵炎後あるいは外傷後などにみられるいわゆるupstream pancreatitisというべきもので,われわれはこれを,限局型と称している.勿論,各々の型のなかには軽重があり,また一方の型に他方のなりたち原因が加わることもあり,互いに病像を修飾しあつて複雑な様相を呈する.限局型であつても,主膵管狭窄ないし閉塞が膵頭部すなわち下流に近くあればある程,びまん型同様に終局的には膵全体の実質の荒廃,線維化という運命をたどるものと考えられる.以上のように,いわゆる慢性膵炎を,膵管造影像からみて,びまん型と限局型の二つの基本的なタイプに分けて,その観点から手術適応や術式選択に関する最近の見解を述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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