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臨床研究
慢性膵炎と膵癌の鑑別診断—CTおよびUSによる検討
著者: 鈴木敞1 内藤厚司1 宮下正1 戸部隆吉1
所属機関: 1京都大学医学部第1外科
ページ範囲:P.1621 - P.1625
文献購入ページに移動"慢性膵炎と膵癌の鑑別"は常に古くて新しい難問を提起しつつ現在に至つてきた.この永遠のテーマに,果して最新の画像診断法がどこまで迫りうるか,CT(コンピューター断層撮影法)とUS(超音波診断法)で懸命模索中のわれわれの成績の一端を披瀝する.
CTはscan間隔,slice厚を通常1cm,小病変をみるときは5mmとする.Plain studyとcontrast studyの両者を併用比較することが肝要で,とくに後者では十分なる量の造影剤急速注入下に撮影する.それにより病巣描画のみならず,描画された病巣のcontrast gradingをも併せ勘案するのである.例えば,図1A,Bは膵頭部癌同一例のplain studyとcontrast studyによるCT像である.図1Aのplain studyでは膵頭部の一様な腫大をみるにとどまつている.これにcontrast studyを付加すると図1Bのごとく周辺血管と共にはじめて癌病巣が浮き彫りにしえた.とりわけ本例では同一膵の非病巣部に比し癌病巣部は著しい低濃度野として描出されている.われわれのいうcontrast grade 1に属する病巣である.後述するように腫瘤形成型の慢性膵炎病巣ではかかる著明な低濃度に至ることは稀である.かくのごとく膵癌と膵炎の判別にもcontrast studyは不可欠なのである.
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