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臨床研究
乳癌組織にみられる石灰沈着とその診断的意義—とくに早期乳癌の診断について
著者: 大橋俊文1 竹村浩1 金井忠男1 田島滋1 土屋周二1 戸沢隆2
所属機関: 1横浜市立大学医学部第2外科 2横浜市立大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.1633 - P.1639
文献購入ページに移動乳癌集団検診の普及や,乳癌に対する一般的な知識の啓蒙により,早期乳癌症例が増加しつつある1,2).われわれの施設においても,過去2年間に手術した乳癌62例のうち,T1 N0 M0の早期乳癌は24例(38%)であり,1977年以前の同期症例21%(23/112)に較べ著しく増加していた.この原因としては,本邦における近年の食生活の変化に伴う,乳癌の発現頻度の増加と3,4),乳癌の各種補助診断法の発達5-8)が考えられる.
一方,乳癌の治療は,局所的には外科療法や放射線治療が,全身的には免疫化学ホルモン療法が行なわれているが9-12),乳癌を根治し得る治療法は,未だ見出されていない.しかし早期に発見し得た乳癌に外科的治療を行なえば,良好な治療成績が得られることが報告されている13-16).現在,乳癌の治療成績の向上には,乳癌の早期発見と早期治療を実現する事が,最も重要であると考えられる.
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