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学会印象記
欧米における迷切術の現況と展望—International Symposium;Verdict on Vagotomy(1981年2月19日〜21日,於・スイス)に出席して
著者: 青木照明1 秋元博1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科
ページ範囲:P.1749 - P.1753
文献購入ページに移動1972年1月"Vagotomy on Trial"というsymposiumがRotterdamで開かれ,Cox, A. Alexander・Williams, J.らによつて出版された.あれから9年,確かに欧米においてはもちろん,わが国でも迷切術に関する臨床的,実験的研究が精力的に重ねられ,最も新らしい考え方あるいは手術方法とされてきた選択的近位迷走神経切離術(以下,選近迷切術)でさえ,広く臨床応用がなされるようになつてから十年余を経ており,Vagotomyそのものに対して,ある評決あるいは"判決"(Verdict)を下すにたる時期に達しているものと思われる.
ところで,今回のsymposiumでも話題の焦点となつた選近迷切術であるが,わが国では"臨床応用"の創始者であるHolle教授に敬意を表して,彼等の命名であるSelective Proximal Vagotomy=SPVと呼ぶのが一般的であるが,周知のごとくHolle教授の唱えるSPVは,すべてdrainageを付加する手術であり,1957年Griffth-Harkinsによる実験的Partial Gastric Vagotomyの真のmeritはwithout drainageにあり,その"臨床応用"はAmdrup-JohnstonらによるHighly Selective Vagotomy=HSVであるとする考え方から,SPVとHSVを区別して使う傾向があるようである.すなわち,SPVといえばwith drainageを意味し,HSVといえばwithout drainageを意味するとするものである.しかし,その中間をとり,Proximal Gastric Vagotomy=PGV(±drainage)と呼ぶ人達もいる.さしづめ,わが国における選近迷切術の現況からすると,PGVに相当するニュアンスかと思われる.
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