臨床外科36巻11号

1981年11月発行

臨床報告

先天性胆嚢欠損症の1例

著者： 北野正義¹ 宇佐見訶津夫¹ 神谷厚¹ 水野孝¹ 谷本典隆¹ 小谷彦蔵¹ 稲熊秀樹²

所属機関： ¹刈谷豊田病院外科 ²刈谷豊田病院内科

ページ範囲：P.1793 - P.1796

はじめに
　先天性胆道奇形は比較的多く，剖検例の約1割に見られると言われているが，このうち先天性胆嚢欠損症はきわめて少なく，外国での報告によると0.01％^1）〜0.09％^2）であり，本邦では泉雄らの調査^3）により，0.045％と報告されている．今回われわれは，上腹部痛を主訴として来院し，諸検査の結果胆石症と診断され開腹するに，先天性胆嚢欠損症であつた1例を経験したので，文献的考察を加えて報告する．