文献詳細
臨床報告
形質細胞乳腺炎の1例
著者: 野口昌邦1 木下元1 片山寛治1 木南義男1 宮崎逸夫1 松原藤継2
所属機関: 1金沢大学医学部第2外科 2金沢大学医学部病理
ページ範囲:P.271 - P.274
文献概要
形質細胞乳腺炎は,1931年,Cheatle & Cutler1)によつて初めて記載され,その後Adair2)がその概念を確立した疾患であるが,本邦では1952年,著者の一人である松原3)が報告して以来,1972年の渡辺ら4)の集計で14例を数えるにすぎず,比較的まれな乳腺疾患である.
本症は,臨床的に急性期には他の乳腺炎と異ならないが,慢性期になると乳癌に類似し誤診されることがあり,病理学的には他の慢性乳腺炎と比較して多数の形質細胞が浸潤し,乳管上皮細胞の増殖,異物巨細胞の出現をみるのが特徴である.
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