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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻3号

1981年03月発行

文献概要

特集 晩期癌患者のcare 対症療法の実際

出血管理

著者: 小川道雄1 神前五郎1

所属機関: 1大阪大学医学部第2外科

ページ範囲:P.337 - P.340

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はじめに
 晩期癌のターミナル・ケアは治療にあたる側のもつ癌患者に対する治療方針,あるいは患者とそれをとりまく周囲の考え方にもかなり影響され,画一的なものとはなりがたいことが多い.ただ出血は患者に対する心理的な影響が大きく,また外科医には失血死だけは避けたいという願いがあり,出血対策は晩期癌患者の救急処置としては重要な位置を占めている.
 晩期癌患者の出血は胃癌患者にもつとも多くみられる.菅野ら1)の報告では癌患者の消化管急性大量出血35例中の16例(45%)が胃癌患者であり,しかも大出血の場合その止血がしばしば困難なものは胃癌からの出血である.もちろん胃癌の場合,癌病巣からの潜出血,持続出血の方がはるかに多いが,晩期癌患者のこのような出血は,結局は輸血によつて補うほかない.従つて本稿では晩期胃癌からの大量出血の管理について具体的に述べ,あわせて晩期癌患者の出血傾向の対策についても触れてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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