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外科医の工夫
試作せる胸腔内圧減圧弁について
著者: 山岡慶之1 西村治1 岡田浪速1
所属機関: 1和歌山県立医科大学胸部外科
ページ範囲:P.353 - P.356
文献購入ページに移動開胸術後の胸腔内ドレナージには低圧持続吸引器が使用されるが,その実際にあたつて,1)咳嗽やパッキングの際に水圧マノメーターの水が飛び出し,必要な陰圧が維持されない.2)同時に胸腔内圧の上昇によつて胸膜損傷部より皮下への空気の漏出が起こり,皮下気腫や縦隔気腫を生じる,などのことが経験される.これらのことは呼吸障害のみならず,創治癒を遅らせ,感染を広げ,著しい場合には循環障害をもたらす結果となる.
そこで私たちはこの両者を防止するために,吸引びんと水圧マノメーターまたは吸引びんと吸引ポンプの間に弁を用いた(図1).これにより胸腔内圧が吸引ポンプの能力を越えて上昇したときでも,速やかに脱気,減圧されるために胸腔および回路内圧の上昇が軽減され,水の飛び出しや皮下気腫が起こらない.この意図にかなうためには通常は完全に閉鎖しており,胸腔内圧の上昇時にはほとんど抵抗なく開く弁が必要であり,私たちはベネット従圧式呼吸器の呼気弁(シリコン膜)の部分を利用していた.このたび不必要な部分を取り除いて小型化したものを試作し(図2),次の点に関してその特性を検討したので報告する.
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