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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻4号

1981年04月発行

文献概要

特集 術後1週間の患者管理

小腸大量切除術

著者: 池永達雄1 沢田寿仁1

所属機関: 1虎の門病院消化器外科

ページ範囲:P.511 - P.515

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 小腸大量切除術が行なわれる対象疾患は,絞扼性イレウス,悪性腫瘍による小腸の広範な浸潤,腸間膜の腫瘍,クローン病,腸間膜動脈血栓症などであるが,いずれにしても腸管通過障害を伴う例が多く,しばしば低蛋白血症,低アルブミン血症,貧血の認められるままで,時に水分および電解質平衡,酸塩基平衡も乱れたまま緊急手術となることもあるので,術後にはこれらの乱れをできるだけ早く補正して,正常に近づける努力を払わねばならない.
 小腸が大量切除される場合には,しばしば回盲弁および大腸の一部が切除されることがあり,また小腸瘻が造設されることもあつて,術後早期より頻回の水様性下痢をみることが多く,他方,小腸大量切除術後には胃液分泌の亢進がおこることも多いので,水分および電解質の喪失には十分注意しなければならない.
 術直後の経口摂取は,下痢を増悪させるので絶食とし,もつぱら経中心静脈的に栄養を補給せねばならない.
 吻合部の縫合不全は致命的であるので,ドレーンからの滲出液の性状に気をつける.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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