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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻4号

1981年04月発行

特集 術後1週間の患者管理

結腸・直腸切除術

著者: 安富正幸1 松田泰次1

所属機関: 1近畿大学医学部第1外科

ページ範囲:P.518 - P.522

文献概要

 結腸は小腸に比べて腸内容が多く,しかも細菌に富むこと,腸管壁がうすいうえに血流が乏しいことが特徴であつて,そのために縫合不全や感染症をおこしやすい.とくに直腸癌手術は大出血をおこしやすい.したがつて腹部手術一般の術後管理のほか,とくに術後感染,術後出血が最も重要な問題である.術後感染の予防には腸内容の排除や腸内細菌の抑制などの術前と術中の処置が重要である.術後の予防的抗生剤は広域スペクトルのものをやや多い目に投与する.術後は熱型の異常,腹壁・会陰部の創感染の有無に注意し.ドレーンの排出物を詳細に観察する.直腸切断術直後には骨盤内ドレーンよりの出血,3日目以後はドレーンよりの排液に注意する.縫合不全の際には軽度ならば絶食・高カロリー輸液で治癒させうるが,炎症が非限局性ならば吻合部または口側腸管に人工肛門を造設する.結腸・直腸術後の感染症は細菌性ショックにおちいるので,早期に適切な処置を講じなければならない,腸閉塞症,重篤な炎症性腸疾患,広範腸切除術では水分,電解質のバランスに留意し多量出血後には術直後からヘマトクリット値と血清電解質を繰り返し測定し,適正な輸血(液)を行なうべきである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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