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文献詳細

雑誌文献

臨床外科36巻4号

1981年04月発行

文献概要

特集 術後1週間の患者管理

膵全摘術

著者: 鈴木敞1

所属機関: 1京都大学医学部第1外科

ページ範囲:P.575 - P.580

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 膵全摘術の術後管理における最大のポイントは糖質管理である.すなわち,インスリン分泌途絶による血糖上限規制因子の障害と,膵グルカゴン分泌途絶による血糖下限規制因子の障害とが同時に共存するという特異なる術後病態に対処せねばならない.かかる糖代謝異常下にあつて,ケトアシドージス以上に留意すべきは低血糖ショックである,そのために,膵全摘後1週間の血糖値として,術後週前半のごく急性期は150〜350mg,週後半は200〜250mg辺にそれぞれ維持するように調整する.具体的には,投与糖液はブドー糖のみとして,その5〜15gにつきレギュラーインスリン1単位の割合で均等に混ぜ,1日200g以上を中心静脈内に持続投与する.
 管理上の第2のポイントは栄養補給である.膵全摘による膵外分泌機能脱落は,広汎郭清による自律神経叢切離後の病態ともあいまつて重篤な消化吸収障害をもたらすので,術後は高カロリー輸液を採用するのがよい.
 上記した糖質管理と栄養補給にさえ留意すれば,あとは後出血,感染,縫合不全など,通常の腹部手術後合併症に対する場合とほぼ同じ要領で,十分に対処しうる.ただこれら合併症発来と共にインスリン必要量も変動(通常は増加)することを知つておく必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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